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聖オーガスティン教会はケントのブルックランドにある教会です。13世紀中頃に建てられたこの教会を有名にしているのは堂内にある12世紀中頃に作られた鉛製の洗礼盤です。
先ず外観から見てみましょう。
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| 聖オーガスティン教会（北西側） |
ブルックランドの聖オーガスティン教会は特大のテントにそっくりな木造の鐘楼が教会の建物とは別に建つ特異な外観です。
現在の教会は1250年頃建てられたものですが、以前のノルマン教会の石材もわずかに使用されています。
この教会は湿地に建てられているため教会と鐘楼を一体の構造物にするのを避けたもののようです。
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| 聖オーガスティン教会の鐘楼 | 聖オーガスティン教会の鐘楼 |
鐘楼はノルウェーのステイブ教会（スターブ教会）を思い起こさせます。当初は鐘が一つで骨組みだけの構造物が1260年頃に建てられました。1450年には四角から現在の八角形に建て替えられ覆いが掛けられました。現在の杉板張りの鐘楼は1936年に建てられたもので内部には六つの鐘を備えています。
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| 聖オーガスティン教会（境内入口の掲示板） |
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| 聖オーガスティン教会（北側ポーチ） |
それでは北側のポーチから堂内に入ってみましょう。
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| 聖オーガスティン教会 身廊（西から東） |
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| 聖オーガスティン教会 身廊（西から東） |
身廊と内陣の間にはアーチがないため身廊と内陣は途切れることなく続いています。身廊の両側には箱形の信徒席（box pews）が並んでいます。
南側廊は身廊と内陣の全長と同じ長さ且つ同じ高さで平行に走っています。
身廊は13世紀、側廊との間の列柱アーチは14世紀のものと思われます。南北のアーチは北側が六つに対し南側は七つで非対称です。
また、両アーチはかなり傾いており、特に南側の傾きは極端です。身廊の敷石も波を打っており経年以前に湿地の地盤に問題がありそうです。
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| 聖オーガスティン教会 身廊（東から西） |
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| 聖オーガスティン教会のプラン |
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| 聖オーガスティン教会内の解説板 |
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| 聖オーガスティン教会 身廊から南側廊東方向 |
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| 聖オーガスティン教会 南側廊から北側廊西方向 |
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| 聖オーガスティン教会 南側廊（東方向） |
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| 後陣の祭壇（内陣より） |
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| 南サイドチャペル |
内陣の南隣で南側廊の東側にあるサイドチャペルです。
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| 内陣から南サイドチャペル |
1964年に壁の修復がなされた際、南壁の東端から1170年の「トマス・ベケットの殉教」の壁画が発見されました。
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| 「トマス・ベケットの殉教」の壁画 （南サイドチャペル） |
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| 「トマス・ベケットの殉教」の壁画 （南サイドチャペル） |
トマス・ベケットの壁画のすぐ下に聖水盤が置かれていた壁龕（右下写真）があり朱色の花模様が残っています。
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| 「トマス・ベケットの殉教」の壁画（南サイドチャペル） | 聖水盤台の壁龕（南サイドチャペル） |
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向こうに見える細長い木箱は嘗て屋外で葬儀を行う際、司祭を風雨から護るために使われた持ち運び用の小屋だそうです。現存するものとして珍しいものです。
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| 十分の一税の秤 |
堂内の南西角に度量衡の秤が展示されています。
粉屋などの商人は1795年の法律で毎年このような公式の標準秤で自分の秤をテストしなければならなかったそうです。
また、嘗て教区民は穀物、蜂蜜、羊毛、布、蝋など生産物の十分の一を税として教区司祭に納めており、その際の計量にもこれら秤が使われたそうです。このようにセットで残っているものは珍しいそうです。
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| 十分の一税の秤 |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤 |
教会で最も注目すべきはノルマンの鉛製の洗礼盤です。英国内に四十ある鉛製洗礼盤の主要作例です。
この洗礼盤は教会の建物より古く1150年頃フランドルの工房で作られたものと考えられています。土台とステップは12.3世紀のものです。
洗礼盤のレリーフは上下二段で構成され上段には黄道十二宮の象徴が描かれ、下段には「月の労働」が描かれています。
上下は一対になっており上段の月の労働が下段に描かれており中世における農耕暦になっています。
これらはフランスでしばしば見られるものでアミアン大聖堂の腰石のレリーフやシャルトル大聖堂のアーキヴォルトの彫刻が有名です。
先ず、洗礼盤を概観します。
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤 |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤 |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤 | 聖オーガスティン教会の洗礼盤 |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤 | 聖オーガスティン教会の洗礼盤 |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤 | 聖オーガスティン教会の洗礼盤 |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤 |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤のレリーフ |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤のレリーフ |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤のレリーフ |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤のレリーフ |
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| 聖オーガスティン教会の洗礼盤のレリーフ |
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） | 洗礼盤のレリーフ（細部） |
白羊宮と金牛宮 3月と4月
3月 畑を耕しブドウの栽培をはじめる。
4月 育ち始めた枝を両手に持って豊穣を祈る。
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） | 洗礼盤のレリーフ（細部） |
双子宮と巨蟹宮 5月と6月
5月 馬上の騎士が鷹を手にしています。（花咲く春の訪れ）
6月 大鎌で草を刈っています。
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） | 洗礼盤のレリーフ（細部） |
獅子宮と処女宮 7月と8月
7月 熊手で干し草を集めています。
8月 判然としませんが鎌で収穫しているように見えます。
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） | 洗礼盤のレリーフ（細部） |
天秤宮と天蝎宮 9月と10月
9月 唐竿で穀物を脱穀しています。
10月 大きな桶に入った葡萄を手にしています。葡萄栽培は中世北ヨーロッパではほとんど行われていなかったことを考えるとこの洗礼盤が大陸からもたらされたものであることが解ります。
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） |
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） |
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） | 洗礼盤のレリーフ（細部） |
人馬宮と磨羯宮 11月と12月
11月 足下の豚にやるドングリを先の曲がった棒で叩き落としています。
12月 斧を振り上げ豚を屠り冬の保存食の準備をします。
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） |
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） |
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） | 洗礼盤のレリーフ（細部） |
宝瓶宮と双魚宮 1月と2月
1月 二つの顔をもつヤヌス神がテーブルにつきワインを飲んでいます。二つの顔は過ぎた年と新しい年を象徴しています。
2月 男が火の前に座って暖を取っています。
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） |
縁のすぐ下にも小さなレリーフがありキリストの復活を現しているそうです。また、その脇の凸部は聖水の盗難防止のため蓋をして施錠するためのものでしょうか。
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） |
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| 洗礼盤のレリーフ（細部） |
ブルックランドの聖オーガスティン教会の見学はこれで終わりです。
| ブルックランドの聖オーガスティン教会に関するサイト |
明日はバーフレストンの聖ニコラス教会を訪ねます。
