城の建物内部はこれと言って見るべきものはない。 しかし、一巡して外に出てもまだ帰ってはいけない。 ガイドは案内所とジンヴェル塔の間にある深井戸の小屋に案内してくれる。 この深井戸は一見の価値がある。
ガイドは一通りの説明をした後、大きな水差しで井戸に水を落とす。
しかし、水が落ちる音がしない。 数秒の沈黙の後、水は井戸の底に達し「ザー」という音が聞こえる。 井戸を覗き込んでも真っ暗で何も見えない。
ガイドは蝋燭に火を付け滑車で降ろしていくが、そのロープがとてつもなく長い。 滑車が止まり中を覗き込むと遙か底に薄明かりに照らされた井戸の底が見える。 極楽の蓮池から地獄の「かん陀多」を覗くお釈迦様の気分である。 この井戸の深さは約60メートルあるそうだ。 |